突然発症する脳卒中
あたたは本当に大丈夫ですか?
前ぶれ症状に注意が必要です
国民的ヒーローである長嶋茂雄元巨人軍監督が脳卒中に罹りオリンピックに参加できなかったことはよく知られています。しかし、意外とこの病気の事はよく知られておりません。日本人にとって死亡率が高く、介助を要する後遺症が残るこの病気は重要な病気の一つですので、よく知り、予防することは大切です。まず、これらの病気の前ぶれの症状としては、体の半側に力が入らない、しびれる、感覚が鈍い、呂律が回らない、言葉が出てこない、理解できない、激しい頭痛がある、立てない、意識がもうろうとする事などが起こります。そしてこの症状が続くのが一般的です。
それでは具体的にどの様な日常生活を送ればよいかについて、日本脳卒中協会では脳卒中予防10か条を発表しておりますので、それに則り簡単に説明したいとおもいます。
- 手始めに高血圧から直しましょう。特に早朝高血圧をコントロールすることが大切です。
- 糖尿病、放っておいたら悔い残る。糖尿病の人は、糖尿病のない人に比べて約4倍も多く脳卒中が起こると言う調査結果がありますので、血糖値を正常にする事と血圧をより厳しくコントロールする事が求められます。
- 不整脈、見つかり次第すぐ受診。脳梗塞の原因なる不整脈(心房細動)はストレスが引き金になることが多いので、できるだけ解消したいものです。自分自身をリラックスする様にしましょう。
- 予防には、煙草を止める意志を持て。煙草はその有害物質によって血管がダメージを受けたり、血液がどろどろになったりしますので、禁煙は早ければ早いほど予防効果があります。
- アルコール、控えめは薬、過ぎれば毒。日本酒なら1合が目安です。
- 高すぎるコレステロールも見逃すな。高脂血症は動脈硬化の原因となります。医師の指導を受けましょう。
- お食事の塩分・脂肪は控えめに。高血圧の人は7g未満としてください。
- 体力に合った運動続けよう。軽く汗ばむ程度の運動を毎日しましょう。
- 万病の引き金になる太りすぎ。正常の体重の人に比べて心臓病や脳卒中になる危険性が高くなります。
- 脳卒中、起きたらすぐに病院へ。
以上のことを守って脳卒中にならずに、元気な熟年でありたいものです。
※尚このコーナーはさまざま観点からのレポートを連続して掲載予定です。
頭部のCTとMRIについて
CTとMRIの使い分けは一般的にどのような判断でなされるかについては次のとおりです。臨床医は頭部の検査が必要と判断した時は一般的にはまずCT検査を施行します。
そのCTの画像診断の上、必要あればMRI検査をします。CTとMRIについてはお互いの検査法の長所と短所があります。CTの長所は検査時間が2~3分と短く、出血性の病気(くも膜下出血、脳出血など)の描出に優れており、費用が安いという利点があります。
短所としては骨の多い部位の描出は苦手であります。一方MRIは短所として検査時間が長く(10~20分)、費用が高く(CTの約3倍位)体内にペースメーカーなどの金属が入っている時は検査ができませんが、長所として脳のどの部位にも詳細に描写でき特に血管(MRA)の描出に優れています。
病気の面から見ると脳外傷や脳出血などが疑われた時にはCT検査をし脳梗塞などの小さな病変や血管の異常(動脈瘤や脳動静脈奇形など)が疑われた時にはMRI検査します。
当クリニックでCT検査はできますがMRI検査はできません。MRI検査が必要な時は当院より徒歩圏内にある検査センタ-や日赤病院などで検査をしてその画像を持ってきていただきます。その画像を見ながら細かく丁寧に説明しております。
皆さん稲妻の様な激しい頭痛を知っていますか?
雷鳴頭痛について
最近このタイプの頭痛が増加している印象がありますので用心のため掲載しますーーー
突発的に起こり、痛みのピークに達する時間は1分未満で1時間から10日間持続する頭痛です。
この頭痛は発症後、数週または数ヶ月にわたって定期的な再発がないのが普通です。そしてこの病気は器質的な原因がある場合とない場合があります。原因がない場合は一次性と呼ばれています。一次性としては咳時、運動時、性行為時、そして入浴時に出現することが多いといわれています。原因のある二次性の可能性については、重症になる可能性があるためによく調べる事が必要です。
特にクモ膜下出血、脳動脈解離、静脈洞血栓症などのチェクが必要です。更に最近は可逆性脳血管収縮症候群とこの雷鳴様頭痛との関連性が注目されています。可逆性脳血管攣縮症候群は脳血管の調節障害で起こるとされていますが明らかな原因は諸説あり未だ不明です。そしてこの疾患の4割には片頭痛の既往歴があるとされております。
又 この病気は可逆性と言われるように、発症後、約12週以内で改善するとも言われております。しかしこの疾患はMRIで診断されますがこの血管が収縮する画像は頭痛発作直後には正常で、頭痛後4-12日後に出現する為見逃されやすいです。又この血管収縮によって脳障害をおこす事もあります。
更にこの疾患の治療において、片頭痛の特効薬であるトリプタンがこの頭痛に効かなかつたり、この薬で頭痛が悪化することもあります。それ故大変気をつけなければならない病気と言えます。